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『16歳の教科書』~なにを学び、なぜ学ぶのか~ [おすすめ書籍]

11歳の娘Mが、「勉強って、なんのためにするん?」と聞いてきたとき、「お?もうそんなことを聞くようになったんだ」と少し驚いた。
その問いは、ことば通りの問いであると同時に、それまで何の疑問も持たず言われることそのままにやってきた娘の自立心のめばえでもあるのだと思う。

そんなことを考えていた時、ふと本屋で目にとまったのが『16歳の教科書~なにを学び、なぜ学ぶのか~』(講談社)である。

今まさにその問いの真っ只中にいる”16歳”にむけての「各専門分野講師の授業」という形で書かれているのだが、中でもタイトルに思わず惹かれたのが、言語学者の大西泰斗氏が書いている4時限目・英語「考える前に感じてみよう!」である。
「(勉強しても)どうして英語が使えないのか?~中略~突き詰めると”英語観”の問題なんですよ。~中略~言葉を単純な機械としてとらえる思想。だけどね、言葉は機械じゃない。~中略~英語を使うためには、英語を使うネイテイブの気持ちに「同期」しなくちゃだめだ。」
そのことに気づいたのは、氏が初めてバイトしたホテルで開発途上国からの研修生達のお世話をしたときのことだと言う。

「略~英語が”公用語”になるわけです。ただ、それは「まともな」英語じゃない___ほとんどネイテイブはいないわけだから。それこそ知っている単語を並べるだけの、「気合と根性」の英語が飛び交っているんですよ。だけどね、驚くべきことにそんな英語でも、微に入り細をうがつ英文法をマスターしたはずの僕なんかよりも、むしろはるかに上手にイキイキとコミュニケーションできる。英語を使ううえで重要なのは「正しさ」じゃない。」

「気合と根性」の英語かあ、、。と自分の1ヶ月(アメリカでの)を思い出す。

「気合と根性」に何を積み上げればネイテイブの英語になるのか。
と、大西氏は続ける。
英語を勉強している16歳にむけて話しているので、それを自分がするかしないかは置いとくとしても、大西氏自身が問いを続け、見つけてきたことの話はかなりおもしろく、頷けるところがいっぱいあり、興味深い。

1時限目の国語「絵筆のように言葉を使おう~ほんとうの国語力を身につけるために~」の中の「言葉というものは覚えるものではなく、考えるものなんだよ」という一節。なるほど、と同時に考えさせられる。

「なぜ学び、なにを学ぶのか」という問いへの答えは、教えてもらうのではなく、自分で見つけるものなのだ、と改めて思う。と、同時にこのような本を読む、誰かの話を聞くことが、その手助けになるのは間違いない。

昔16歳だった人にもオススメの本です。

posted by マーゴ at nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 

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コメント 1

k_shinkawa

16歳ってところに 説得力がある気がする。
我が家の子供達も、15~16歳のとき、自分がどうしていきたいのか、
何を学びたいのか、どう学びたいのか。。。と自問自答していたころと重なるからだ。

英語の大西先生は、私も大好きな先生で、「気合いと根性」ってすごくわかる。。。
小学生の半ば以降で アメリカに親の仕事の都合で来た子供達は、
休み時間がなく連続授業の時など、自己申告して トイレに行かないといけないシステムになれない上、恥ずかしさで なかなか手を挙げれず、でも
我慢できずに 言うんだけど、 小さい声、自信なさげな発音で通じず、
それでも 行けないと大変なことになるので「気合いと根性で」
言うんですよ。
3回かかっていたのが、2回で行けるようになり そのうち1回で行けるようになり、 だんだん生活にも 英語にも、授業にも 同じように慣れていく。
ことばの獲得と そこで生きるが直結してる。

あとから笑い話のように  聞いた話しだけど、 やっぱり 自分たちで見つけながら みんな生きてるんだよね~
by k_shinkawa (2009-11-02 23:19) 

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